2014年6月4日のブログ「お布団の天日干しでやってはいけないこと!」のページビューがとても多く、皆さまご興味をお持ちの様です。
ただ、6年が経過し若干内容的に変化がありますのでこの際ご紹介したいと思います。
◆「お布団の天日干し」について
3月に入り日差しが暖かく感じるようになり、お布団を天日干ししている光景もちらほらと見かけます。天日干したお布団で寝るのはとても気持ちいいですね!
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ここでお布団の天日干しクイズです。
問1.どんなお布団でも天日干しをしても良い
問2.干したお布団は布団たたきでホコリが出なくなるまで叩く
問3.干すのは片面だけで良い
回答は、問1 〇 問2 × 問3 ×
天日干しをする理由は3つ!あります
1.お布団を乾燥させる
2.太陽の熱でダニを退治する
3.太陽の紫外線で雑菌を死滅させる
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問1の解説
お布団全般で天日干しはとても大切です
天日干しをすることで、溜め込んだ湿気を放出し中に入っている綿(わた)をふっくらと復元させることができます。
天日干しをしないと溜め込んだ湿気でべた~っと冷たい感触になり保温力も上がりません。
綿わたを使用したお布団の場合は、ダニの住み着く3条件 [湿度と温度とエサ(フケや垢など)] が揃いやすく、ダニのとても居心地の良い住処になり、場合によってはカビも発生するので健康被害の心配もあります。
天日干しが出来ない冬場や梅雨シーズンは布団乾燥機を使用することもオススメです。
◇中わたの違いによる天日干の時間
・綿わたの場合、季節にもよりますが、表裏各2時間、合計4時間程度で概ね乾燥します。陽が濃くなればある程度ダニ退治効果はあります。
・ポリエステル綿の場合、もともと湿度があまり籠らない特徴を持っているので短時間でOKです。
・羽毛ふとんや羊毛100%の場合、以前は「天日干しはオススメしません」とご案内しておりましたが、今は1年に2~3回、2時間程度の天日干しをオススメしています。動物繊維の場合はもともと湿度がこもらない特徴を持っていますが、「天日干しをすることでダウンやウール等の動物繊維がふっくら元気になる」と、ここ数年で業界での考え方が変わってきました。ただ長時間の天日干しはNGです。髪の毛を乾燥させる時にドライヤーを当てすぎると毛が痛んで枝毛や切れ毛の原因となります。髪の毛は頭皮から生えているため切ってもまた伸びて再生しますが、羽毛や羊毛繊維はカラダから離れて既に死んでいるので再生ができません。
ただし、羊毛混わたを使用したお布団は、お部屋の状況により湿気がこもることもありますから天日干しは短時間であれば頻繁にしても良いでしょう。
※お布団の中綿が何か分からない方もいらっしゃると思います。そんな時はお布団のヘリに付いている製品タグをご確認ください。タグが無い、印字が薄くなって分からない場合などもありますが、まあざっくりと羽毛布団以外はしっかり干しましょう!
※綿わたのお布団(特に敷布団)を重くかんじるのは(冬場の布団が干せない季節など)水分を大量に溜め込んでいるためです。その水分量はシングルサイズの敷布団でなんと2kg(2リットル)ほどになるとか。一升瓶とほぼ同じ量の水分を溜め込んでいます。必然的に、重たい・冷たいとなります。
問2の解説
布団を叩くのは基本的にはNGです
綿わた布団の場合、パタパタ叩くと最初はすごくホコリが出ますが徐々に減ってきます....が、いつまで経ってもホコリが止まることはありません。
ホコリの正体は吸い込んだホコリやチリ、ダニの糞や死骸、その破片と壊れた綿の繊維です。更に叩き続けて出るのは叩かれて壊れた繊維なので、いつまで叩いても止りません。また羽毛や羊毛は絶対に叩いてはいけません。繊維を破壊しお布団の寿命を縮めるだけなのでNGです。羽毛や羊毛の場合はお布団を干したときに表面についたホコリを撫で落とす程度が良いと思います。
問3の解説
どんなお布団でも両面干しが効果的です。
両面干しは乾燥効果の他に、太陽からの紫外線により雑菌を死滅させる効果があります。綿わたふとんの様に湿気を多く溜め込んでいる場合は、より効果的に乾燥とダニ退治効果も上がります。
◆「お布団のダニ退治」について
ダニが生息しやすい環境のお布団の中わたは
★※ダニの生息できる3条件・・・①湿度(60~80%)+②温度(20~30度)+③エサ(フケや垢など)
綿100% | ◎ | 肌掛けふとんや座布団などの一部製品に使われています。3条件が揃いやすい。 |
綿/ポリエステル | ◎ | お布団全般に広く使われています。3条件が揃いやすい。 |
ポリエステル100% |
△ |
お布団全般に広く使われています。ほぼ乾燥してますが住めないとは言い切れません。 |
羊毛/ポリエステル | △ |
掛、肌掛け、敷布団に広く使われています。常に乾燥していますが住めないとは言い切れません。 |
羊毛100% | × | 掛、敷、肌掛けふとんの一部製品に使われています。常に乾燥しているので住めません。 |
羽毛 | × | 掛け布団に使われています。常に乾燥しているので住めません。高密度繊維の生地はダニが通れません。 |
ウレタンマット | × | 健康マットや敷布団の中素材として一部製品に使われています。ほぼ乾燥しているので住めません。 |
※ [綿わた]を使用したお布団を快適にご使用いただくには日頃のメンテナンスが特に重要ですが、他の種類の中わたでも極度の湿気(結露など)などが発生する場合は注意が必要です。
お布団の天日干しでダニは退治できる?
天日干しで退治できるダニは数パーセントだそうです。布団たたきで叩くとダニを退治する効果は多少上がりますが、わたを痛めてしまうのでオススメできません。結論的に言うと、天日干しはダニ退治と言うよりは溜め込んだ水分の発散と紫外線による布団表面の殺菌効果になります。
効果的なダニ退治の方法は「お布団丸洗い(水洗い)」です
最近では布団掃除機も一般的になってきましたが、表面のホコリや表面に近い浅い部分のホコリやダニの糞・死骸を一定程度除去しますが布団深部にいるダニは除去できません。それでも効果はあるので布団掃除機は日頃のお手入れとしてはとても有効だと思います。
結論的にはお布団の丸洗い(水洗い)が効果的です。丸洗いは水流でチリやホコリ、ダニの糞・死骸も洗い流し、オゾン殺菌等の併用で菌類も死滅します。100%除去とはならないまでも他の方法に比べ著しく効果が高いと言われています。
※ここポイント
防ダニ加工のお布団だから大丈夫!はちょっと違います
布団購入時に施されている防ダニ加工は「繊維にダニが嫌う加工薬剤を固着させる」方法が主流ですが、効果は5年程度と言われます。
多くの方が「羽毛や羊毛は動物繊維だからダニが心配」と誤解されてます
羽毛や羊毛などの動物繊維は湿度をコントロールする機能を持ちほぼ常に乾燥しているので、湿度の高い所を好むダニは住むことができません。更に羽毛布団に限って言えば、高密度に織られた側生地はダニの大きさよりも目が細かくダニは侵入できません。3条件の2つが欠けるので、ダニの心配は全くありません。
ダニアレルギーをお持ちの方は
ダニ対策を施したお布団や、高密度に織られた生地を使用したお布団など、最近は種類も増えて製造されているので、当店など専門店にご相談されることをお薦めします。ダニアレルギーの無い方には問題はありませんが、花粉症の様にある年から突然症状が現れる方もいらっしゃるので油断はできません。寝具を衛生的に保つために3~5年に一度のお布団を丸洗いはやはり有効です。
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メディアでダニ特集などの放送がたびたびありますが・・・・
余談ですが、テレビ番組でダニ特集の定番が「布団に住み着くダニ」の話しです。
調査員が一般の方の家を訪問して「うわっ!こんなにダニがいますよ奥さん」的な・・・。
でも実際には前述の通り、ダニが住み着きやすい布団は”綿、綿/ポリエステル”のお布団ですが、日頃のメンテナンスをされていれば、ダニの生息できる3条件が揃わないためダニは住みにくく体に害を与えるほどにはなりません。
専門研究機関によると、絨毯+畳、絨毯、ぬいぐるみ、室内塵、に多くのダニが生息しているという調査結果が出ています。布団やぬいぐるみは洗濯できますが、絨毯や畳となるとそう簡単にはダニ退治のお手入れはできません。
ダニ企画の番組では、布団ばかりをターゲットにすることが多く、また防ダニや除菌・抗菌加工の布団の説明や、羽毛ふとんや羊毛布団にはダニは付きにくいという説明もなく、ただダニの恐怖を煽るだけの内容はどんなもんかと思います。
これからもお布団に対して正しい知識を発信していきますのでよろしくお願いします!!