昨日、東京西川から、側生地が”トータスキルト”というタイプの羽毛ふとんが入荷しました。
このキルトは特殊で、文字通り亀甲形に仕切られたマスの中に羽毛を吹き込んであります。
ということで、意外と軽視されがちな羽毛ふとんの側生地についての雑学です。
◎まずキルト。
側生地のキルトの役割は、中に入れるダウンの片寄りを防止して、ふとんの厚みを均一にする働きがあります。 ですからキルトの善し悪しで、同じ量のダウンを入れてもおふとん全体の保温力に大きく影響します。
キルトにはには大きく分けて3種類あります。
1.ヨーロッパキルト
これは側生地の表裏を完全に縫いつけてしまいマチがありません。
30年近く前までの羽毛ふとんはこれが主流でしたが、マチが無いので縫いつけた部分に厚みが無く、縫い合わせ部分は体温の熱が上に抜けやすくなり保温力にロスが発生します。
現在は0.2kg入り程度ダウンケット等に使われています。
2.立体キルト
これが現在の主流。重箱を縦・横に並べた形で、仕切られたマスの中に羽毛を吹き込みます。
仕切部分もマチがあることによって厚みが確保され、ヨーロッパキルトと比較にならないほど保温力のロスが排除されています。
3.ツインキルト(二層式立体キルト)
これは、立体キルトを2重にしたタイプで、立体キルトのマチ部分はどうしても薄くなるため、二重にすることで更に熱のロスを軽減します。
ダウンボールの比較的小さな羽毛(個々の保温力は低い)を使用した場 合に多く使われます。
デメリットとしては、中心部を水平に仕切る布が一枚多い分、ふとん全体の仕上がりが重くなります。
現在、多くは2の立体キルト、次いで3のツインキルトが主流です。
文頭に登場した”トータスキルト”は、2の立体キルトに属するタイプで、通常の立体キルトはマチの薄い部分が縦・横、直線的に薄くなる欠点を亀甲形でカバーしています。
保温力も上がりますが、側生地の縫製も手間がかかるのでそれだけ価格的には高くなります。
各メーカーで、保温力アップのためにこだわりのキルトを開発しているので一度お使いの羽毛ふとんを確認してみてください。
◎そして生地の素材です。
生地にもタイプがいろいろあります。(概ね価格の安い順に列記)
1.ポリエステル100%
2.綿/ポリエステル
3.綿100%
4.リヨセル(指定外繊維)/ポリエステル
5.リヨセル/綿
6.リヨセル100%
7.シルク/綿
8.シルク100%
※リヨセルとはユーカリの皮を原料とする自然繊維 ※この他にもありますが書ききれないので省略します。
羽毛ふとんの特徴として重要な項目がいくつかある中で、”軽さ”と”フィット性”に大きく係わるのが”生地の質”です。
簡単に言うと、生地の特徴が、軽いほど、そしてしなやかなほど高品質でおふとんの価格も高くなっていきます。
生地が軽いことで、中の羽毛のボリュームを最大限発揮させ保温力を上げます。
生地がしなやかなことで、カラダへのフィット性が高く、カラダとふとんの隙間を無くし、体感的な保温力を高めます。
ですから中身に同じ羽毛を使っても、生地で保温力に違いが生じます。
各メーカーとも中身の羽毛の品質と生地の品質とのバランスを考え商品のラインナップを決めています。
あながち高品質のダウン率を誇張した羽毛ふとんが低価格で販売されていても、生地の質が悪いというパターンもありますから要注意。
以上、キルトと生地について書いてきました。羽毛ふとんご購入の際はダウン率だけではなく”キルトと生地”の品質についても確認してみてくださいね。